電子契約サービスは多数の事業者から提供されており、機能・料金・対応範囲が事業者ごとに異なります。本記事では、個人事業主が電子契約サービスを選ぶ際に確認しておきたい観点を、事実ベースで整理します。

確認したい 5 つの観点

選定時に押さえておきたい主な観点は以下の 5 つです。それぞれ詳しく見ていきます。

  1. 電子署名方式(当事者型 / 立会人型)
  2. 料金体系(初期費用・月額・送信料)
  3. 法的対応(電子署名法・電子帳簿保存法)
  4. セキュリティ
  5. 既存ツール・取引先との連携性

1. 電子署名方式

電子契約サービスは、署名の方式により大きく2種類に分類されます。

当事者型(電子証明書ベース)

契約者本人が 電子証明書 を取得し、その電子証明書を用いて電子署名を行う方式です。

  • 本人確認の信頼性が高い
  • より強い法的効力を求める契約に適しているとされる
  • 電子証明書の発行手続が必要なため、導入コスト・手間がかかる

立会人型(メール認証ベース)

電子契約サービス事業者が「立会人」として電子署名を付与する方式です。契約当事者は メールアドレスでの本人確認 が中心となります。

  • 導入が簡単
  • 取引先が新たな手続をする必要がない
  • 一般的な BtoB 契約で広く採用されている

個人事業主視点: 取引相手も含めて運用負担が小さい 立会人型 を採用するサービスが、現状の主流です。重要度の高い契約のみ当事者型を併用する選択肢もあります。

2. 料金体系

電子契約サービスの料金は、主に以下の3要素で構成されます。

要素内容
初期費用導入時の一括費用。多くのサービスで「無料」
月額固定費用アカウント維持費。プランごとに数千〜数万円
送信料(従量課金)1 件の契約送信あたり 100〜300 円程度(サービスによる)

個人事業主視点での確認ポイント:

  • 月の契約件数を試算し、無料プランで足りるか、有料プランが必要か判断
  • 有料プランの場合、月額固定費 + 想定送信件数 × 送信料 の合計でコストを比較
  • 受信側(相手方)の費用負担が発生するかも確認(多くは発生しません)

3. 法的対応

電子契約を有効な契約として運用するには、関連法令への対応状況を確認します。

電子署名法

電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)に基づき、電子署名が 手書き署名や押印と同等の法的効力 を持つことが定められています。各サービスが電子署名法に準拠した方式を採用しているかは、公式サイトの「セキュリティ」または「法的有効性」に関する案内で確認できます。

電子帳簿保存法

電子契約サービスを通じて締結した契約データは、電子帳簿保存法上の電子取引データ に該当します。保存期間・検索要件等への対応状況を確認しておきましょう。詳しくは 電子帳簿保存法における電子取引データの保存要件 を参照してください。

タイムスタンプの取得

タイムスタンプは「その時点でその文書が存在し、改ざんされていないこと」を証明する仕組みです。電子帳簿保存法上の真実性確保要件の1つとして用いられます。サービスにより付与方法・料金が異なります。

4. セキュリティ

契約書には機密情報が含まれるため、セキュリティ体制の確認は重要です。確認ポイントの例:

  • 第三者認証の取得状況: ISO/IEC 27001(ISMS)、SOC 2 等
  • データセンターの所在地: 国内 / 海外
  • 通信の暗号化: TLS 等
  • アクセス制御: 二要素認証の有無、IP 制限の可否
  • データバックアップ・冗長化

これらの情報は、各サービスの公式サイトの「セキュリティ」ページに掲載されています。

5. 既存ツール・取引先との連携性

業務効率の観点から、以下も確認しておきたい項目です。

  • 会計ソフトとの連携: 既に freee 会計やマネーフォワード クラウド会計を利用している場合、同シリーズの電子契約サービスが連携面で有利になる場合があります
  • 契約書管理機能: 締結後の契約書を検索・管理できるか
  • 取引先の利便性: 立会人型の場合、相手方は登録不要で署名可能か
  • API・外部連携: 既存業務システムと連携が必要な場合の対応状況

個人事業主が「無料プラン」中心で運用する際の注意点

多くのサービスが個人事業主でも使える無料プランを提供しています。無料プランを選ぶ際は、以下を確認しましょう。

  • 月間送信件数の上限(例: 月 5 件)
  • 保管できる契約数の上限 — 古い契約が自動削除される仕様の場合あり
  • タイムスタンプの付与可否 — 無料プランでは付与されないサービスもあり
  • ユーザー数の制限 — 多くは 1 ユーザーまで
  • テンプレートの登録数上限

上限を超えた場合、有料プラン移行時の料金体系がどうなるかも事前に確認しておくと、後で慌てずに済みます。

主要サービスの概観

具体的なサービス例として、以下が国内で広く利用されています。

  • クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
  • freeeサイン(フリー株式会社)
  • 電子印鑑GMOサイン(GMO グローバルサイン・ホールディングス株式会社)
  • マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

各サービスの料金プラン詳細は、本サイト記事および各社公式サイトで確認してください。

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まとめ

電子契約サービスを選ぶ際は、電子署名方式・料金体系・法的対応・セキュリティ・既存ツール連携 の5観点で比較します。個人事業主の場合、まずは無料プランで使用感を確認し、月間契約件数や運用要件に応じて有料プランへの移行を検討する流れが現実的です。

なお、本記事は公式情報の集約を目的としており、契約の有効性や個別のサービス選定については、必要に応じて弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。