インボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとで、適格請求書を発行するためには、税務署に 適格請求書発行事業者として登録 する必要があります。本記事では、個人事業主が登録申請を行う手順を、国税庁の公開情報をもとに整理します。
登録申請の前提
- 適格請求書発行事業者として登録できるのは、消費税の課税事業者 のみです
- 免税事業者が登録する場合は、登録と同時に課税事業者となります(経過措置あり)
- 登録は 任意 ですが、登録しない場合は適格請求書を交付できず、取引先(買い手)は仕入税額控除を受けられなくなる可能性があります
申請方法は2種類
国税庁では、以下の2つの申請方法が案内されています。
| 申請方法 | 必要なもの | 登録通知までの目安 |
|---|---|---|
| e-Tax | マイナンバーカード、利用者識別番号、e-Tax ソフト | 約 1 か月 |
| 書面(郵送) | 申請書、本人確認書類のコピー | 約 1.5 か月 |
e-Tax のほうが登録通知が早い傾向です。
手順1: e-Tax で申請する場合
必要なものを準備する
- マイナンバーカード
- IC カードリーダーまたは対応スマートフォン
- 利用者識別番号(持っていない場合は申請時に取得)
申請の流れ
- e-Tax ソフト(Web 版)または e-Tax ソフト(インストール版)にアクセス
- マイナンバーカードでログイン
- 利用者識別番号がない場合はオンラインで取得
- 「適格請求書発行事業者の登録申請データ」を作成
- 必要事項を入力し、電子署名を付して送信
- 受付完了通知を確認
登録通知の受領
登録が完了すると、e-Tax のメッセージボックスに 登録通知書 が届きます(電子通知を希望した場合)。通知書には以下が記載されています。
- 登録番号(T で始まる 13 桁の数字)
- 登録年月日
- 氏名・名称
手順2: 書面で申請する場合
必要書類を準備する
- 「適格請求書発行事業者の登録申請書」(国税庁ホームページからダウンロード)
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、または通知カード+運転免許証等)
申請書に記入する項目
個人事業主の場合、申請書には以下を記入します。
- 提出日と所轄税務署名
- 住所(または居所)
- 納税地
- 氏名
- 生年月日
- 個人番号(マイナンバー)
- 事業内容
- 課税事業者であること(または課税事業者となる選択)の確認欄
提出先
書面の場合は、各地域の インボイス登録センター が提出先となります。所轄税務署ではなく、地域ごとに集約されたセンターに郵送します。最寄りのセンターは国税庁ホームページから検索可能です。
登録通知の受領
書面で申請した場合、登録通知書も書面で郵送されます。
手順3: 登録番号の確認方法
登録が完了すると、国税庁の 「適格請求書発行事業者公表サイト」 に以下の情報が掲載されます。
- 登録番号(T で始まる 13 桁)
- 氏名または名称
- 登録年月日
このサイトでは、取引先から提示された登録番号が有効かを確認することもできます。請求書を受領した側が仕入税額控除を確実にするため、定期的に確認する事業者も増えています。
よくある注意点
- 登録番号は再発行されません。失念した場合は公表サイトで自分の氏名から検索するか、税務署に照会します
- 氏名・住所の変更があった場合は変更届出が必要 です。公表サイトの情報も変更後の情報に更新されます
- 登録の取消し は所定の届出書を提出することで可能です
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まとめ
適格請求書発行事業者の登録は、e-Tax を利用すれば約 1 か月、書面でも約 1.5 か月で完了します。個人事業主の場合はマイナンバーの記載が必要となるため、本人確認書類の準備を忘れずに行ってください。登録が完了したら、登録番号と公表サイト上の情報を確認しておきましょう。
なお、本記事は国税庁の公開情報の集約を目的としています。免税事業者から課税事業者への切り替え判断や、登録するかどうかの判断は事業者ごとの状況によります。個別の判断については税理士等の専門家にご相談ください。