事業活動で取り交わした契約書は、一定期間の保存が義務付けられています。本記事では、個人事業主と法人それぞれの契約書・帳簿書類の法定保存期間を、国税庁の公開情報をもとに整理します。

個人事業主の保存期間

帳簿・書類別の保存期間

国税庁の公開情報によれば、個人事業主(所得税の申告義務がある方を含む)の記帳・帳簿等の保存期間は以下のとおりです。

区分対象書類の例保存期間
帳簿仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳7年
書類(一般)決算関係書類(貸借対照表・損益計算書等)、現金預金取引等関係書類7年
書類(小規模)請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など5年(※)

※ 前々年分の事業所得および不動産所得の合計額が 300万円以下 の場合は5年。それ以外(300万円超)は7年。

消費税課税事業者の場合

消費税の課税事業者として仕入税額控除を受ける場合、控除の要件として保存が義務付けられる書類(請求書等)の保存期間は 7年 です(消費税法第30条第8項)。

また、インボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとで、適格請求書発行事業者として交付した適格請求書の写しおよび電磁的記録についても、7年間の保存が必要とされています。

起算点

個人事業主の書類の保存期間は、原則としてその年分の確定申告の提出期限の翌日(3月16日)から起算します。

例として、2024年(令和6年)分の書類は、申告期限の翌日である2025年3月16日から起算します。

法人の保存期間

帳簿書類の保存期間(法人税法)

法人(青色申告)の帳簿書類の保存期間は、国税庁の案内によれば以下のとおりです。

区分対象書類の例保存期間
帳簿総勘定元帳、仕訳日記帳、現金出納帳、固定資産台帳7年
書類棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など7年

欠損金の繰越控除がある場合

法人税法上、欠損金(赤字)の繰越控除期間は最長10年(平成30年4月1日以降開始事業年度分)とされています。欠損金が生じた事業年度の帳簿書類については、欠損金の繰越期間中は保存が必要とされています。実務上は10年間保存する対応がとられる場合があります。

起算点

法人の帳簿書類の保存期間は、原則として確定申告の提出期限の翌日から起算します。

会社法上の書類保管

会社法(第432条・第435条等)においても、会計帳簿の保存期間は10年と定められています(会計帳簿閉鎖の時から起算)。

税法上の保存期間(最長7〜10年)と会社法上の期間(10年)が重なる場合、より長い期間に合わせた保管が必要となります。

電子データで保存している場合

電子契約サービスや会計ソフト等で電子データとして保存している契約書・請求書等は、電子帳簿保存法の規定に基づいた保存要件を満たすことが求められます。保存期間そのものは紙書類と同様です。

電子取引データ(メール添付のPDF、電子契約サービスで交付された契約書等)については、紙への出力による保存は認められなくなっており、電子データのまま保存することが義務付けられています(2024年1月1日以降の電子取引から完全義務化)。

保存期間の実務上の注意点

  • 同一の書類で複数の起算ルールが適用される場合(例: 消費税の仕入税額控除要件と所得税の保存義務が重なる場合)は、長い方の期間を基準にした対応が必要です。
  • 保存期間の起算点は法律・条文によって異なる場合があります。詳細は税理士等の専門家にご確認ください。
  • 取引先との契約書は、税務上の保存期間とは別に、契約の有効期間中は保管しておくことが実務上も重要です。

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まとめ

契約書を含む帳簿書類の法定保存期間は、個人事業主・法人ともに原則7年が基準となります。個人事業主のうち、前々年分の事業所得等が300万円以下の方は一部書類を5年とすることが認められています。

会社法上の会計帳簿は10年保存が義務付けられており、法人は税法と会社法の両方の要件を確認することが必要です。

なお、本記事は国税庁等の公開情報をもとに整理したものであり、個別の保存期間の判断については、税理士等の有資格者にご相談ください